犬の口臭が気になったとき、原因を知って対策を打つことが大切です。犬の口臭は歯周病や内臓疾患の可能性があり、放っておくと健康を害する原因になりかねません。この記事では犬の口臭の原因と対策方法について解説します。
犬の口臭は何が原因?
犬の口臭でとくに多いのは歯周病が原因のケースです。「生臭い」「魚臭い」といったニオイや、卵が腐ったような「腐敗臭」がする場合は歯周病かもしれません。そのほかにも口の乾燥や内臓疾患などが原因として考えられます。
歯周病になりやすい犬種・年齢は?
チワワやトイプードルなどの小型犬、パグやシーズーなどの短頭種は、歯並びが悪さで歯垢(しこう)がたまりやすくなり、歯周病になりやすいとされています。また免疫力の衰えた老犬ほど歯周病のリスクは高いです。ただし成犬であれば約80%以上が歯周病だと言われています。
犬の口臭の原因は?
健康な状態の犬には、不快な口臭は発生しません。そのため犬の口臭が気になるときは、なにかしらの不調のサインかも。以下に代表的なニオイの種類とおもな原因をまとめます。
ニオイの種類 | 考えられるおもな原因 |
生臭い
魚臭い |
口の乾燥
歯周病などのトラブル |
食べ物のニオイ | フードの食べかす |
腐敗臭
(腐った卵、生ゴミ、ドブなどのようなニオイ) |
歯周病などのトラブル |
酸っぱいニオイ | 内臓疾患 |
アンモニア臭 | 内臓疾患 |
甘いニオイ | 糖尿病 |
糞便のようなニオイ | 食糞
内臓疾患 |
口の乾燥や歯周病が原因となっている口臭であれば、比較的軽度な可能性があるので、自分で対処することができるかもしれません。
一方で酸っぱいニオイやアンモニア臭などがする場合、内臓疾患の可能性もあるので、心配であればまず動物病院で受診するのがおすすめです。
それぞれの症状について、もう少し詳しく見ていきましょう。
口が乾燥している
犬の口が乾燥していると、「生臭い」「魚臭い」といったニオイに例えられる口臭が発生します。
犬の口腔内で水分が不足することで、通常よりも濃縮された唾液が出ることで、口臭の原因になってしまうのです。
そもそも犬の口が乾燥する理由は、以下のようなものが考えられます。
- 鼻炎・鼻詰まりで常に口を開けている
- 暑い季節に体温を下げるため口呼吸する(パンティング)
- 水分補給が不足している
十分な水分補給をしていても、感染症やアレルギーなどで鼻が詰まっている場合は口呼吸になって口臭の原因になります。鼻水やくしゃみも出ているようなら、診察してもらって適切な治療を受けさせてあげましょう。
つねに口呼吸をしているなど口腔内が乾燥しがちな状態になると、細菌が繁殖したり歯・歯ぐきがダメージを受けたりして、歯周病の原因にもなるので注意が必要です。
また日頃与えている水の量にも気をつけましょう。一般的には体重1キログラムにつき40~60ミリリットル程度が適切とされています。とくに夏はパンティングによっていつもより体内の水分が減ってしまうので、少し多めに調整して水を与えるとよいでしょう。
フードのニオイが残っている
犬の口臭がいつもより気になるとき、フードのニオイが残っているだけというケースも考えられます。
- ニオイが強い食べ物
- 消化の悪い食べ物
- 歯に残りやすい食べ物
おもに上記のような食べ物を与えた心当たりがあるなら、一時的に犬の口臭が強まっているだけかもしれません。
いつもと食べ物を変えていないのに犬の口臭が気になるという場合、ドッグフードの開封日や消費期限を確認してみてください。
ドッグフードに付着しているオイルは、開封後に酸化していきます。酸化したり腐敗したりしたドッグフードを与えると、同じ食べかすのニオイだとしても、いつもと違うような口臭に感じられる可能性もあるのです。
普段からごはんの後で犬の口臭が強まるという場合は、普段から歯磨きなどのデンタルケアを習慣化してみましょう。
歯周病や歯肉炎など口周りのトラブル
犬の口臭は歯周病や歯肉炎などによって強まることがあります。
この場合は「生臭い」「魚臭い」といったニオイのほか、腐った卵や生ゴミ、ドブなどに例えられる「腐敗臭」が発生することが多いです。
- 歯周病
- 歯肉炎
- 口内炎
- 口腔内腫瘍
犬のお口周りで起こりやすいおもなトラブルは上記のとおり。
歯周病と歯肉炎は、どちらも歯垢(しこう)が溜まったときに起こる炎症です。とくに歯周病は犬の口臭のなかでも最も多い原因と考えられています。3歳以上の犬だと約80%以上が歯周病であると言われるほどです。
歯肉炎の場合は歯ぐきだけが炎症を起こしますが、歯周病は歯のまわりにある靭帯や骨にまで症状がひろがることがあり、さらに重症化すると顎(あご)の骨折や鼻炎にまでつながりかねません。
歯ぐきの色がピンクから赤に変わっていないか、出血していないか、口に触られるのを嫌うようになっていないか、食欲が低下していないか、などの項目をチェックしてみてください。
また口腔内腫瘍ができたとき、膿によって腐敗臭のようなニオイがすることも。腫瘍には良性・悪性どちらもありますが、口のなかを見たときに症状があれば、早めに動物病院などの専門機関で受診しましょう。
消化器・肝臓・腎臓などの内臓疾患
胃腸などの消化器官、肝臓や腎臓などの内臓が不調になることで、犬の口臭が強まることがあります。疾患のある部分によってニオイの種類も変わりますが、「酸っぱいニオイ」「アンモニア臭」「糞便のようなニオイ」などが代表的です。
- 酸っぱいニオイ→胃腸の不調
- アンモニア臭→腎臓や肝臓の不調
- 糞便のようなニオイ→重度の便秘、腸閉塞など
上記のように、口臭がどんなニオイかによって、不調をきたしているのがどこなのか、検討をつけるための目安になるとされています。
犬の口臭が酸っぱいニオイのときは、胃酸がこみ上げているニオイかもしれません。胃腸炎などの不調によって胃酸が過度に分泌されている可能性があります。
また腎臓と肝臓は、どちらも毒素を排出するための器官です。これらの内臓の機能が低下することで正常に毒素を排出できなくなり、体内に溜まった毒素が口臭として現れる可能性があります。
犬が重度の便秘だと、口から便のニオイがすることも。消化がよくなるようにドライフードを水でふやかすなど、水分を取って便をやわらかくするように心がけましょう。腸が正常に動かずにふさがってしまう「腸閉塞」という病気の可能性もあるので、便秘が長期間つづいている場合は医療機関の受診をおすすめします。
食糞している
食糞(しょくふん)とは、文字通り「糞便を食べる」という意味です。犬は食糞をしてしまうことがあり、その場合には口に残った便のニオイが口臭の原因となります。
犬が食糞する場合、考えられるおもな原因は以下のとおりです。
- 飼い主の関心・興味を求めている
- 退屈しのぎに遊んでいる
- 食事が足りなくてエネルギー源として食べている
- 不安な気持ちを紛らわせている
飼い主にかまってほしくて、興味を引くために食糞する犬も多いようです。
この場合、食糞を発見したときに声をかけてしまうと「飼い主が興味を持ってくれた」と勘違いして、気を引こうとするときに食糞するようになってしまいます。
犬が食糞していてもリアクションをとらず、黙々と片付けるようにしましょう。叱るのもNGです。食糞を叱ったつもりでも、「うんちをすること」自体を叱られたと勘違いしてしまうことがあり、隠れての排便や食糞が常習化してしまう可能性があります。
興味を引くためでなくても、犬にあたえた食事量が十分でないケースも。栄養が少ない食事だと糞便を食べて栄養補給してしまう可能性があります。
食糞のおもな対処法は以下のとおりです。
- 食事量を増やす
- 一緒に過ごす時間を増やす
- 排便したあと、すぐにおやつやおもちゃ遊びなどで気を引く
- 排便するタイミングを把握して散歩中に排便させる
子犬の場合、食事の量を見直すなどして様子を見てみましょう。不安な気持ちやかまってほしさから食糞することもあるので、一緒に過ごしてあげる時間を増やすのも対策になります。
排便するタイミングを把握できるのであれば、散歩に連れ出したり、排便後はすぐにおもちゃ・おやつで気を引いたりするのもよいでしょう。別のことで気を紛らわして、食糞の習慣化を防ぎます。
参考:“食糞症”うちのわんちゃん、ウンチを食べてしまうんです…|あおきじま動物病院
犬の口臭の対策方法とおすすめグッズ
犬の口臭が気になってきたら、まずは口腔内の様子をチェックしてみましょう。腫れや炎症がある場合は対策が必要です。口腔内の見た目からは判断がつかない場合は、食欲や毛ヅヤなどが衰えていないか注視しつつ、病院での検査も検討しましょう。
そのほか、普段から飼い主が自分でできる口臭対策もあります。具体的な方法を紹介していくので参考にしてみてください。
歯磨きの習慣化が大切
犬の約80%以上が歯周病とされていて、歯周病は「腐敗臭」のような口臭の原因になります。これを防ぐためには、歯磨きの習慣化がなにより大切です。
そもそも歯周病は、歯垢(しこう)が溜まることで起こります。歯垢は細菌がたくさん含まれているので、歯ぐきに炎症を起こし、歯と歯ぐきとのあいだに溝ができて進行。広がった溝からさらに再起が入り込んで、歯周病は悪循環を繰り返すのです。
また、たまった歯垢は歯石(しせき)になります。歯石とは歯垢が石灰化した茶色い物質で、歯にこびりついてなかなか取れません。歯ぐきのなかまで歯石がたまると、全身麻酔で歯石除去をしないと取れないほどです。
そうなる前に普段から歯磨きを習慣化しておきましょう。歯垢を落として、歯周病や口臭を予防することにつながります。
短時間でもいいので、1日に1回は必ずおこなうことが大切です。1日では全部の歯を磨かなくても大丈夫です。慣れていない犬に歯磨きをするのは大変ですが、まずは習慣化することを心がけましょう。
どうしても犬が歯磨きを嫌がってしまう場合は、ガムやサプリメント、マウスウォッシュ(洗口液)などの使用を考えてみてください。
おすすめのデンタルケアグッズ:バウデント
「BowDent-バウデント-」は、口臭だけでなく歯周病などのトラブルや歯の汚れをトータルケアできる、デンタルケアクリームです。
【バウデントの特徴】
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バウデントは、このように歯磨き粉として使用しながら、歯のコーティング、口臭ケア、歯の保湿ケア、腸内環境を保つ健康サプリとしての役割を果たします。
歯磨き粉、サプリメントなどをそれぞれ別に用意しなくてもいいので、口臭ケアをするうえでかなりコスパがいいのです。初回購入限定で、愛犬専用の歯ブラシまでついてきます!
「犬の口臭ケアをしたいけれど、どれから手を付けたらいいか分からない」という方にピッタリです。
ドッグフードやサプリメントで口臭ケア
歯垢・歯石になりにくいドッグフードを選んだり、口腔内の健康を維持するサプリメントを与えたりするのも口臭ケアになります。
口臭対策としてドッグフードやサプリメントを与える場合は、以下の点に注目して選んでみてください。
- ウェットフードではなくドライフードである
- 総合栄養食である
- (おもにサプリメント)口腔内の善玉菌を増やす
ドッグフードにはウェットフード(半生タイプ)の製品があいますが、ドライタイプと比べると歯に付着して歯垢・歯石になりやすいので注意しましょう。口臭対策をしたい場合、基本的にはドライフードがおすすめです。
またドッグフードが「総合栄養食」かどうかも要チェック。日本では「総合栄養食」と認定されるために一定の栄養基準が設けられています。総合栄養食でない場合、カルシウムやビタミンなど歯の健康に欠かせない栄養が不足してしまう可能性があるので注意してください。
口臭対策のサプリメントを与える場合は、口腔内の善玉菌を増やすはたらきに着目しましょう。歯周病は細菌の増殖が原因となるので、善玉菌を増やすことで歯周病の原因をへらすことにつながります。善玉菌と悪玉菌のバランスを保つことで、歯周病の予防と口臭ケアになるのです。
おすすめのデンタルケアサプリメント:キュアペット
「CURE PET」(キュアペット)は口臭ケアをおもな目的としつつ、口腔内だけでなく乳酸菌による腸内ケアもできる一石二鳥のサプリメントです。
【キュアペットのおもな特徴】
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キュアペットは毎日のごはん(総合栄養食)に“ふりかけ”のようにかけて与えることで、愛犬の口内環境を健康に保ってくれます。
「口腔内フローラ」「クマサザエキス」などの善玉菌が豊富に含まれることで、歯周病の原因となる細菌を抑え、口腔内を健康に保ってくれるのが特徴。
また16種類もの乳酸菌が含まれている「乳酸菌FF16」が腸に届き、腸内環境を整えて免疫力を保ってくれます。消化不良や便秘なども口臭の原因となるので、腸内環境を整えることでニオイ対策に効果が期待できるのです。
同じく消化を助けて内側から口臭ケアにアプローチしてくれるのが「ダイジェザム酵素」です。この酵素がアミラーゼ、プロテアリーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ラクターゼなどの消化酵素にはたらきかけて、消化吸収をサポートしてくれます。
口腔内と胃腸、どちらからも口臭にアプローチできるサプリメントなのでおすすめです。
その他の口臭対策
犬の口臭対策として、歯磨きや食事改善のほかには以下のような方法が挙げられます。
- 水分補給を増やす
- 適度な運動、バランスのいい食事
- 病院で歯石除去
- 病院で病気の検査
水分補給を増やすことで口腔内の乾燥を防ぐことにつながります。とくにフードを食べたあとに口腔内が乾燥していると口臭が強くなりやすいので、食中・食後にしっかり水分を与えることが大切です。
当たり前かもしれませんが、適度な運動やバランスのいい食事も不可欠。運動不足になると代謝が悪くなり、体に溜まった毒素が口臭の原因になる可能性があります。ストレス解消や免疫力アップも期待できるので、口臭に限らず犬の健康維持のために十分な運動をさせてあげましょう。
歯周病がすでに進行していて歯石がたまっている場合は、病院で歯石除去をしてもらいましょう。歯石は歯と歯ぐきとのあいだにたまるので、全身麻酔をしてから処置をおこないます。
もし口腔内に以上が見られないのに口臭が改善しない場合は、内臓疾患のサインかもしれません。とくにアンモニア臭や酸っぱいニオイの口臭が気になる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ:犬の口臭からサインを見逃さずに対策しよう
この記事では犬の口臭の原因と対策方法について解説しました。
犬の口臭がキツくなる原因はさまざまなケースが考えられますが、ニオイの種類によってある程度まで絞り込むことができます。いずれも何か不調のサインであることが多いです。
犬の口から「生臭い」「魚臭い」「腐敗臭」のようなニオイがするときは、栄養バランスのいい食事と十分な運動で免疫力を高めつつ、歯磨きを習慣化して歯周病の悪化を防ぐなどの対策をとりましょう。
水分不足が原因の可能性もあるので、水を飲む量やおしっこの色もチェックしつつ、十分な水を与えることにも注意してください。とくに夏は、ただ口だけが乾燥するのでなく、脱水症状にもつながるおそれがあります。
犬の口臭が「酸っぱいニオイ」「アンモニア臭」「甘いニオイ」などのときは内臓疾患や糖尿病の可能性があります。早めに動物病院を受診して、検査してもらいましょう。
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