元気だった犬が突然死するのはよくあること?
健康状態に問題はないと思っていた犬が突然亡くなってしまうケースは、そこまで多くありません。しかしどの犬にも可能性はあるので、この記事を参考に原因などを把握しておきましょう。
犬の突然死は防げる?
犬の突然死を完全に防ぐ方法はありませんが、ある程度なら未然に察知し対処できるでしょう。例えば「定期的な健康診断を行う」「生活環境を整える」などの工夫が日頃から大切です。詳しい方法はこの後解説していきます。
犬が突然死する原因とは?
「昨日までは元気だったのに突然亡くなってしまった」というケースもあります。犬が突然死に至る際によく見られる原因としては、以下が挙げられます。
- 心臓や脳に関する病気
- フィラリア症
- 低血糖
- 食べ物による中毒
- 胃捻転
犬種によって突然死につながりやすい病気も異なるので、それぞれについて詳しく解説していきます。
突然死の原因①:心臓や脳に関する病気
心臓や脳に関する病気が原因で、犬が突然死に至ってしまうこともあります。例えば心臓や脳の働きが悪くなる、血管が詰まる・破れるなど。
心臓や脳に関する病気が突然死につながる可能性のある犬種としては、以下が挙げられます。
心臓病に注意したい犬種 |
チワワ、キャバリアキングチャールズスパニエル、トイプードル、ポメラニアン など |
脳に関する病気に注意したい犬種 |
ゴールデンレトリバー、ボーダーコリー、チワワ、ヨークシャーテリア、パグ、ブルドッグ、トイプードル など |
愛犬が上記の犬種に当てはまる場合は特に注意してください。自分が飼っている犬がどんな病気になりやすいのかを把握しておき、日頃から病院で検査を受けたり対策を勉強したりする必要があります。
心臓や脳に関する病気を予防する具体的な方法は、記事の後半で紹介しています。ぜひご確認ください。
突然死の原因②:フィラリア症
フィラリア症(別名:犬糸状虫症)は、蚊に刺された際に犬の体内に寄生虫(フィラリア)が入り込み、血管や心臓に寄生することで発症する病気です。フィラリア症にかかるとせきや食欲の低下などが起こり、末期になると突然死に至る可能性も。
フィラリア症は薬で予防できます。月に1回薬を食べさせるだけで済むので、動物病院へ連れていき定期的に処方してもらいましょう。
フィラリア症が突然死につながりやすい犬種というものは存在しません。しかし地域的に蚊が多い場所に住んでいたり、毎日のお散歩ルートに蚊が多かったりすると、フィラリア症にかかる可能性が高くなります。
突然死の原因③:低血糖
低血糖とはその名の通り血糖値が低下し、元気がなくなってしまう病気のこと。低血糖によってけいれんを起こし、適切な処置を行わないと突然死につながってしまうこともあります。
空腹状態が長時間続く、長時間食事が摂れない、キシリトール(人間用歯磨き粉やガムなどに含まれる成分)を誤って摂取する、といったことが原因として挙げられます。
空腹による低血糖を予防するには、1日に与えるご飯の量は変えず食事の回数を増やしてあげることが重要。またキシリトールが含まれている食べ物を愛犬のいる場所で食べない、扱いに注意するなどの工夫も必要です。他の病気が原因で低血糖を起こすこともあるので、こまめな健康診断で病気を見逃さないようにしてください。
特に体が小さい犬は低血糖に陥りやすいでしょう。体が小さいと多くの糖分を体内に蓄えておくことが難しいからです。
低血糖に注意したい犬種 |
・子犬全般
・小型犬や超小型犬(チワワ、トイプードル、ヨークシャーテリアなど) |
愛犬が上記の犬種に当てはまる場合は注意してください。
突然死の原因④:食べ物による中毒
人間には問題がなくても犬に与えると中毒を起こしたり、大量に摂取すると死につながったりする食べ物もあります。チョコレートや玉ねぎなどは犬に与えてはいけない食べ物として有名ですが、以下のような食材も注意が必要です。
- ネギ類(ニンニクや長ネギなど)
- ぶどうやレーズン
- キシリトール入りの食べ物
- カフェイン入りの食べ物、飲み物(コーヒーや緑茶など)
- マカダミアナッツ
- 熟していないトマトの実
など
食べ物による中毒を予防するには、以下のような対策がおすすめです。
- 料理スペースには入れないようにペットフェンスを設置する
- 犬にとって危険な食材を食べる時は愛犬をハウスに入れる
など
危険な食べ物を与えないよう注意していても、料理中に誤って落とした食べ物を愛犬が食べてしまい中毒症状を引き起こしてしまうケースもあります。生活環境や愛犬の性格などをよく考慮し、できる限り危険な食べ物を避けられる環境作りを行いましょう。
なお上記の食べ物を摂取したとしても、ただちに中毒を引き起こすわけではありません。「体重の数%以上」など、一定以上の量を食べた場合に命の危険が出てきます。
特に小型犬や超小型犬は体重が軽いので、少量食べただけでも重篤な中毒症状を引き起こす可能性があります。チワワやトイプードル・キャバリアキングチャールズスパニエルなどの軽い犬種は、特に注意してください。万が一口に入れてしまったらすぐに病院で診てもらいましょう。
突然死の原因⑤:胃捻転(いねんてん)
胃捻転は文字通り「胃がねじれてしまう」病気です。一気に飲食する・食後すぐに運動するなどして、空気を大量に取り込んでしまうことが原因とされています(明確には分かっていません)。
胃捻転は死亡率の高い病気の1つなので、予防することが非常に重要。下記の点に注意しましょう。
- 運動の直前や直後に食事を与えない
- 一度に大量の食事を与えない(食事回数を増やす)
- 食べるのが早い犬には早食い防止の食器を使う
- 胃捻転予防の手術を受ける(胃を固定して捻転しづらくする)
胃捻転が突然死につながる可能性のある犬種としては、以下が挙げられます。
胃捻転に注意したい犬種 |
・胸が深い大型犬(シベリアンハスキー、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリーバー、ドーベルマン、バーニーズマウンテンドッグ、ジャーマンシェパード、ボルゾイ など)
・トイプードル ・ダックスフンド など |
愛犬が上記の犬種に当てはまる場合は注意してください。
犬の突然死は防げる?もしくは前兆を見抜くことはできる?
犬の突然死の兆候を見抜いて未然に防ぐのは簡単ではありません。
しかし以下のような点に注意すれば突然死につながりやすい病気に気づき、予防できる可能性があります。
①定期的に健康診断を受ける
②ささいな変化を見逃さない
③生活環境を常に整えておく
それぞれについて詳しく解説します。
定期的に健康診断を受ける
愛犬の健康状態に異常がなくても、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。「まだ若いから必要ない」「シニア犬になったけれど、成犬の頃と変わらず元気だから大丈夫」などと思っていても、症状が出ていないだけで何かしらの健康トラブルがあるかもしれません。
「隠れた病気が原因で愛犬が突然亡くなってしまった」となるとショックですよね。最低でも1年に1回、可能であれば半年に1回の頻度で健康診断を受けてください。
ささいな変化を見逃さない
愛犬の突然死を防ぐには、ちょっとした変化を見逃さないことが非常に重要です。例えば「少し元気がないかも」「ちょっとだけ呼吸の仕方が変かな?」など、ささいな愛犬の変化に気づけるように、日頃から愛犬の様子を観察しコミュニケーションを取っておきましょう。
何か少しでも愛犬の様子に違和感がある時は、動物病院を受診してください。また明らかな異常があった時にすぐ受診できるよう、あらかじめ24時間対応の動物病院を見つけておくことも大切です。
生活環境を常に整えておく
愛犬が生活する環境は常に整え、安全な状態を維持しておきましょう。いつでも愛犬がキッチンに行き来できたり、机の上にあるものを食べてしまえたりするような環境は突然死(事故)の可能性を高めてしまいます。
「うちの子はお利口さんだからそんなことはしない」と思っていても、ストレスがたまり問題行動をする恐れもあります。
飼っていた愛犬が突然死してしまったら、原因を調べることはできる?
病理解剖などを行えば愛犬が突然亡くなってしまった原因を調べることは可能です(病理解剖ができるかどうかは、かかりつけの動物病院や近所の動物病院で相談してみてください)。
ただし愛犬が亡くなった原因が分かったとしても、飼い主が納得できるケースはあまり多くないでしょう。また解剖をするには亡くなった愛犬にメスを入れる必要があります。そうまでして原因を知りたいのか、よく考える必要があります。
「愛犬の変化に気づいてあげられたら助かったかもしれない」「もっと健康管理をしっかりしていれば」など後悔する気持ちが山ほど出てくるかもしれません。しかし突然死につながった原因が分かったとしても、時間を巻き戻すことはできないのでかえって辛くなってしまうかもしれません。
そんな時は原因を調べるよりも、まずは愛犬の好きだったおやつやおもちゃを供え、今までの感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。あなたが愛犬を家族同様に愛していたことは事実であり、愛犬もあなたと一緒に暮らしたことを心から喜んでいたはずです。
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