「ペットの火葬を無料でお願いできる場所はある?」
「費用を払う余裕がない場合、市役所や保健所に相談してもよい?」
大切なペットが亡くなった直後は、悲しみのなかで火葬方法や費用について調べなければなりません。できるだけ費用を抑えたいと考えるのは、決しておかしなことではないでしょう。
結論からいうと、飼っていたペットを無料で火葬してくれる自治体は多くありません。ただし、自治体によっては数百円から数千円程度で引き取りや合同火葬を依頼できます。
一方で、料金が安い自治体のサービスでは、遺骨が返却されなかったり、ほかの動物やごみと一緒に焼却されたりする場合があります。
本記事では、ペット火葬を無料で依頼できる可能性や自治体の費用例、民間業者との違いを解説します。費用を抑えながら、後悔の少ないお別れをする方法も確認していきましょう。
ペット火葬は無料でできる?

ペット火葬を完全無料で依頼できるケースは、基本的に限られています。
自治体が無料で回収しているのは、道路上で亡くなっている野良猫や野鳥など、飼い主のいない動物であることが一般的です。家庭で飼っていた犬や猫などについては、少額でも処理手数料がかかる自治体が多いでしょう。
たとえば、さいたま市では飼い主のいるペットの処理手数料は1頭1,100円ですが、野良犬・野良猫・野鳥などの回収は無料です。神戸市でも、飼い主のいない動物は無料である一方、家庭で飼育していたペットの持ち込みや回収は有料となっています。
つまり、インターネット上で「自治体なら無料」と書かれていても、次のどちらを指しているのか確認しなければなりません。
- 飼い主のいない動物の無料回収
- 家庭で飼っていたペットの火葬や引き取り
飼っていたペットを無料で見送れるとは限らないため、お住まいの自治体へ直接確認しましょう。
「無料引き取り」と「ペット火葬」は同じではない
自治体の案内に「引き取り」「処理」「焼却」と書かれている場合、それがペット専用炉での火葬や供養を意味するとは限りません。
自治体による対応は、主に次のように分かれます。
| 自治体の対応 | 主な内容 | 遺骨の返却 |
|---|---|---|
| 廃棄物としての焼却処理 | ごみ焼却施設などで処理する | 原則なし |
| 動物専用炉での合同火葬 | 複数の動物をまとめて火葬する | 原則なし |
| 個別火葬 | 1体ずつ火葬する | 対応する場合あり |
| 民間霊園への委託 | 自治体が引き取り、委託先で合同火葬する | 原則なし |
大阪市では、引き取ったペットを動物専門の委託業者へ渡し、合同焼却処理をしています。高温で処理するため骨はほとんど残らず、残った灰も埋め立て地へ運ばれるため、遺骨の返却や供養はできません。
一方、横浜市では遺骨が返らない合同火葬だけでなく、骨壺に納めた遺骨を受け取れる個別火葬も用意されています。
「自治体だから雑に扱われる」「公営施設では遺骨が返らない」と一律に決めつけることはできません。火葬方法や供養の内容まで確認することが大切です。
ペット火葬は市役所や保健所に持ち込める?

ペットが亡くなった場合は、まず市区町村の公式サイトで対応窓口を調べましょう。
相談先として考えられるのは、次のような部署や施設です。
- 市役所・区役所の環境担当課
- 清掃事務所や環境事業所
- クリーンセンター
- 市営斎場や公営火葬場
- 動物愛護センター
- 自治体から委託を受けた回収業者
自治体へ確認する際は、料金だけでなく、以下の点も聞いておくと安心です。
- 自宅まで回収に来てもらえるか
- 自分で持ち込む必要があるか
- ペット専用炉で火葬するか
- 合同火葬か個別火葬か
- 火葬に立ち会えるか
- 遺骨を返却してもらえるか
- 箱や副葬品に決まりがあるか
- 受け入れ可能な動物や重量
- 予約や事前手続きが必要か
自治体のペット火葬・引き取り費用の例

自治体によるペット火葬の料金や内容には、大きな違いがあります。
以下は、2026年時点で自治体が公表している料金例です。
| 自治体 | 内容 | 料金例 | 遺骨返却 |
| 宇都宮市 | 自己搬入 | 530円 | 原則なし |
| 名古屋市 | 環境事業所へ持ち込み、ごみと一緒に焼却 | 500円 | なし |
| 名古屋市 | 八事斎場で合同火葬 | 1,100~4,400円 | なし |
| 大阪市 | 自治体による引き取り、合同焼却処理 | 1,700~2,800円 | なし |
| 横浜市 | 戸塚斎場で合同火葬 | 3,000円 | なし |
| 横浜市 | 戸塚斎場で個別火葬 | 10,000~30,000円 | あり |
宇都宮市では、自分で持ち込む場合は1体530円、回収を依頼する場合は1体1,100円です。
名古屋市では、各区の環境事業所へ持ち込んでごみと一緒に焼却する場合は500円、自宅までの回収を依頼する場合は1,000円となっています。八事斎場の動物火葬を利用する場合は、箱を含めた重量に応じて1,100~4,400円です。
大阪市の引き取り手数料は、5キログラム未満が1,700円、5キログラム以上10キログラム未満が2,100円、10キログラム以上が2,800円です。
横浜市では、戸塚斎場へ直接持ち込む合同火葬が3,000円。個別火葬は重量によって10,000~30,000円に設定されています。
料金や受付条件は変更される可能性があるため、実際に利用するときは必ず最新の公式情報をご確認ください。
自治体と民間のペット火葬業者の違い

自治体は費用を抑えやすい反面、火葬方法や見送り方を選べないことがあります。
主な違いを整理すると、次のとおりです。
| 比較項目 | 自治体 | 民間のペット火葬業者 |
| 費用 | 比較的安い | 自治体より高い傾向 |
| 火葬方法 | 焼却処理・合同火葬が中心 | 合同・個別一任・個別立会など |
| 遺骨返却 | できない場合が多い | 個別火葬なら返却されることが多い |
| 火葬への立ち会い | 対応しない場合が多い | 対応可能なプランがある |
| お骨上げ | できない場合が多い | 家族で行えるプランがある |
| 遺体の搬送 | 持ち込みが必要な場合がある | 訪問や引き取りに対応する業者がある |
| 日時 | 平日・日中中心の場合がある | 夜間や休日に対応する業者もある |
| 葬儀・供養 | 原則として簡素 | 読経・納骨・埋葬なども選べる |
費用だけを重視するなら、自治体への持ち込みや合同火葬が有力です。
ただし、遺骨を手元に残したい場合や、家族で火葬に立ち会いたい場合は、自治体の安価な処理が希望に合わないかもしれません。
料金を確認する前に、次の3点を家族で決めておきましょう。
- 遺骨を返してほしいか
- 火葬に立ち会いたいか
- 自分で遺体を運べるか
希望する条件が少ないほど、費用を抑えやすくなります。
お金がない場合にペット火葬の費用を抑える方法
ペット火葬の費用をできるだけ抑えたい場合は、次の順番で依頼先を探してみてください。
1.最初に自治体へ相談する
費用を最優先する場合は、民間業者を探す前に自治体の窓口へ問い合わせましょう。
地域によっては、数百円から数千円ほどで引き取りや合同火葬を依頼できます。民間業者を紹介されるだけの場合もありますが、確認しておいて損はありません。
「火葬」という名称ではなく、「動物死体の処理」「ペットの引き取り」などとして案内されている場合もあります。
2.自分で持ち込む
自治体や民間業者に回収を依頼すると、出張費や回収手数料が加算されることがあります。
たとえば横浜市の合同火葬は、斎場へ直接持ち込む場合が3,000円、出張回収を依頼すると6,500円です。
自家用車などで安全に運べるなら、持ち込みを選ぶことで負担を抑えられるでしょう。
3.遺骨が不要なら合同火葬を選ぶ
民間業者では、一般的に個別立会火葬よりも合同火葬のほうが安く設定されています。
合同火葬では複数のペットを一緒に火葬するため、個別の遺骨を返してもらうことはできません。火葬後は、業者が管理する合同墓地などに埋葬されるケースが多く見られます。
遺骨を手元に残す必要がない場合は、合同火葬を検討してもよいでしょう。
4.個別火葬なら「一任火葬」を検討する
個別火葬には、主に次の2種類があります。
- 個別一任火葬
- 個別立会火葬
個別一任火葬では、火葬やお骨上げをスタッフへ任せ、火葬後に遺骨を受け取ります。家族が火葬に立ち会う個別立会火葬より、料金を抑えられることが一般的です。
「遺骨は返してほしいものの、立ち会いやセレモニーにはこだわらない」という場合に向いています。
5.夜間・早朝や遠方への出張を避ける
24時間対応の業者であっても、夜間や早朝には割増料金がかかる場合があります。対応エリア外への出張費、休日料金、駐車料金などが追加される可能性にも注意が必要です。
すぐに火葬しなければならない事情がなければ、日中の通常営業時間内で依頼できないか相談してみましょう。
6.必ず総額で比較する
ペット火葬業者のサイトに掲載されている最低料金だけで依頼先を決めるのは避けましょう。
基本料金が安くても、次のような費用が追加されることがあります。
- 出張料金
- 骨壺・骨袋代
- 深夜・早朝料金
- 休日料金
- お骨上げ料金
- 返骨料金
- 合同埋葬料金
- セレモニー料金
- エリア外料金
問い合わせるときは、「すべて含めた支払総額はいくらですか」と確認するのがポイントです。ペットの種類と体重、希望する火葬方法、住所を伝え、できれば書面やメールで見積もりを受け取りましょう。
関連記事:ペット火葬の費用相場はいくら?種類・体重別の料金と追加費用
自分でペットを火葬するのはやめよう
費用を無料にするため、自宅の庭や空き地などでペットを燃やしてはいけません。
廃棄物処理法では、一部の例外を除いて廃棄物の野外焼却が禁止されています。家庭用の簡易焼却炉やたき火でペットの遺体を焼く行為は、火災や煙、悪臭、近隣トラブルの原因にもなりかねません。
火葬費用を支払うことが難しい場合でも、自分で燃やしたり、山林や河川敷へ放置したりせず、自治体へ相談してください。
私有地への土葬はできる?
自分が所有する土地に、弔う意思を持って適切に埋葬することは、直ちに廃棄物処理法違反となるわけではありません。
ただし、次のような場所への埋葬は避ける必要があります。
- 公園や河川敷などの公共用地
- 他人が所有する土地
- 賃貸住宅の庭や共用部分
- 土地所有者の許可を得ていない場所
- 地下水や周囲の生活環境に影響する場所
埋め方が浅いと、臭いが発生したり、野生動物に掘り返されたりするおそれがあります。将来土地を売却する可能性も考慮しなければなりません。
北見市も、自己所有地への埋葬は直ちに違法ではないとしながら、臭気や地下水汚染、野生動物による掘り返しなどへの注意を呼びかけています。
マンションや賃貸住宅に住んでいる場合は、自治体またはペット火葬業者へ依頼するのが現実的でしょう。
安いペット火葬業者を選ぶときの注意点
料金が安いという理由だけで業者を決めると、希望していた方法で見送れない可能性があります。
契約前に、次の内容を確認してください。
料金の内訳が明確か
公式サイトや見積書に、基本料金と追加料金の条件が明記されているか確認します。
電話では安い金額を伝えられたものの、火葬当日に高額なオプションを請求されるケースを避けるためにも、総額を事前に確認しましょう。
火葬方法と遺骨の扱いが説明されているか
「個別火葬」と書かれていても、火葬への立ち会いやお骨上げが含まれているとは限りません。
少なくとも、次の点は確認が必要です。
- 本当に1体だけで火葬するか
- 火葬炉へ入れるところを確認できるか
- お骨上げを家族で行えるか
- 遺骨はいつ、どのように返却されるか
- 骨壺代が料金に含まれているか
質問にきちんと答えてくれるか
料金や火葬場所について質問した際、曖昧な回答を繰り返す業者には注意が必要です。
大切なペットを預けるからこそ、不安や疑問へ丁寧に答えてくれる業者を選びましょう。
ペットが亡くなってから火葬までに行うこと
火葬まで時間が空く場合は、遺体を涼しい場所で安置します。
まず、ペットシーツやタオルを敷いた段ボール箱などへ寝かせてあげましょう。保冷剤や袋に入れた氷をタオルで包み、お腹や首周辺を中心に冷やします。
直射日光が当たる場所や暖房の効いた部屋は避け、可能であれば冷房のある部屋で安置してください。
自治体や火葬場によって、持ち込み時の箱や副葬品に細かな決まりがあります。名古屋市の八事斎場では紙製の箱が指定され、入れられるものも少量の生花、乾いた餌、紙類などに限られています。
毛布、プラスチック製品、おもちゃ、金属類などは入れられない場合があるため、事前に確認しておきましょう。
犬が亡くなった場合は死亡届も必要
自治体に登録している犬が亡くなった場合は、火葬の手続きとは別に、登録を抹消するための死亡届が必要です。
オンラインや電話、窓口などで手続きできる自治体があります。鑑札や狂犬病予防注射済票の返還を求められる場合もあるため、お住まいの市区町村の案内をご確認ください。
猫、うさぎ、ハムスターなどについては、通常、犬と同様の登録抹消手続きはありません。
ペット火葬を無料で依頼したい人のよくある質問
市役所なら必ず安く火葬できますか?
自治体によって対応が異なります。
数百円から数千円程度で引き取りや合同火葬を行う自治体もあれば、ペット火葬を実施せず、民間業者を案内している自治体もあります。
まずは市区町村の環境担当課や清掃事務所、公営斎場などへお問い合わせください。
保健所へペットの遺体を持ち込めますか?
保健所が窓口になっているとは限りません。
清掃事務所、環境事業所、クリーンセンター、市営斎場などが担当している地域もあります。事前連絡なしで持ち込まず、必ず自治体へ確認しましょう。
無料で火葬して遺骨も返してもらえますか?
完全無料で個別火葬を行い、遺骨まで返却してくれるケースは非常に限られます。
遺骨の返却を希望する場合は、自治体の個別火葬または民間業者の個別一任火葬を中心に探しましょう。
ペット保険で火葬費用は支払われますか?
一般的なペット医療保険では、火葬や葬儀の費用は補償対象外となることが多いでしょう。
ただし、葬祭費用の特約が付いている契約も考えられます。加入している保険の約款や補償内容をご確認ください。
犬や猫以外のペットも自治体で火葬できますか?
自治体や施設によって異なります。
うさぎ、ハムスター、鳥、爬虫類などを受け入れる施設もありますが、対象を犬や猫などの哺乳類に限定しているところもあります。岡山市の市営斎場では、哺乳動物以外のペットは受け付けていません。
ミニブタ、ヤギ、ヒツジ、ポニーなどは、ペットとして飼育していても一般的な小動物火葬の対象外となる場合があります。
まとめ
飼っていたペットを完全無料で火葬してくれる自治体は多くありません。
ただし、地域によっては数百円から数千円程度で、遺体の引き取りや合同火葬を依頼できます。費用を抑えたい場合は、まず自治体の環境担当課、清掃事務所、市営斎場などへ相談してみましょう。
その際は、料金だけでなく、次の点を必ず確認してください。
- ペット専用炉で火葬するか
- ごみと一緒に焼却されるか
- 合同火葬か個別火葬か
- 遺骨を返却してもらえるか
- 火葬への立ち会いができるか
- 自分で持ち込む必要があるか
遺骨の返却や立ち会いを希望する場合は、自治体の個別火葬や民間業者も含めて比較する必要があります。
費用の安さだけでなく「どのようにお別れしたいか」も考えたうえで、ご家族が納得できる方法を選びましょう。


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