ペットの埋葬方法は大きく2つ!土葬・埋骨などの言葉の違いとやり方を理解しよう

夕焼けの中を走る犬 ペット火葬・葬儀

ペットの埋葬にはどんな方法がある?

埋葬には大きく分けて「火葬なしでそのまま土に葬る方法」「火葬後に遺骨の状態で土に葬る方法」があります。他にも方法はありますが、基本的には火葬をしてから供養を行う家庭が多いでしょう。

ペットを埋葬する手順は?

ペットの埋葬(土葬)をする手順は以下の通りです。 1私有地にペットを埋められるスペースがあるか確認する 2深さ1~2メートルの穴を掘る 3土に還る素材のタオルや手ぬぐいで遺体を包む 4穴に石灰をまき、遺体をタオルごと納める 5遺体の上からさらに石灰をまく 6穴に土を戻す 7モニュメントとなる墓標を置いたり、植物を植えたりする

ペットの埋葬とはそもそもなに?ペット供養の方法を解説

墓地

「埋葬」という言葉は汎用的に使われることがあり、亡くなったペットを葬ること全般を(納骨も含めて)埋葬と呼ぶことも多いでしょう。

しかし法律では、埋葬は次のように定義づけられています(人間の場合)。

「埋葬」とは、死体(妊娠4カ月以上の胎児を含む)を地中に葬ることをいう。

つまり法律上「埋葬」は遺体を土の中に埋める「土葬」を指し、厳密には土の中に埋めない「納骨」は埋葬ではないということです。

そのため「埋葬」という言葉を使う際は、どちらの意味なのかを理解しておく必要があります。

※この記事では基本的に埋葬=土に埋める方法として使用します。

埋葬は大きく分けて2種類!火葬なしの「土葬」、火葬ありの「埋骨」

土葬の準備をする人

ペットの埋葬方法(土に葬る方法)は大きく分けて次の2種類です。

方法 詳細
土葬 遺体を火葬せずに、そのままの姿で土の中に埋めること
埋骨 遺体を火葬して、遺骨を土の中に埋めること

「土葬」と「埋骨」はどちらも土に埋めて自然に返すという共通点がありますが、埋める前に火葬しているかどうかという点が異なります。

遺体をそのままの姿で地中に埋める方法を「土葬」。火葬後の遺骨をそのまま、もしくは粉骨(※)して埋める方法を「埋骨」といいます。

(※)ふんこつ・遺骨を砕いてパウダー状にすること

詳しくは後ほど解説しますが、多くの家庭では土葬よりも埋骨を選んでいます(=火葬を行ってから土に葬る方が多い)。

「納骨」という供養方法があることも覚えておこう

 

納骨 遺体を火葬して、遺骨を墓や納骨堂に納めること

「納骨」は火葬をする点において「埋骨」と似ていますが、土に埋めて自然に返すのではなく、遺骨を墓地や納骨堂に納める供養方法です。

納骨では寺やペット霊園などに遺骨を納めることが一般的ですが、手元供養といって火葬した遺骨を手元(自宅など)に置いて供養する人も。より身近な場所で供養をしてあげたい方は、手元供養がおすすめです

ちなみに手元供養では、このような「骨つぼ」という入れ物の中にペットの遺骨を入れて保管します。

骨つぼ

納骨や手元供養をする場合は、土に骨を埋めることはしないので注意してください

ペットは土葬と火葬のどちらがおすすめなのか

犬を抱っこする子ども

ペットの供養は、ご家族が最も納得できる方法を選ぶとよいでしょう。しかしどのように供養したらいいか分からず悩んでいる場合は、火葬するのがおすすめです。その理由を解説します。

ペットも人間と同じように火葬して供養する人が多い

最近では、飼い主の間で「ペットも人間と同等の家族の一員である」という考え方が一般的になってきています。そのためペットが亡くなったときも、人間の供養と同じように火葬する人が大半といわれています。

中には「自分(人間)と同じ墓に入れたい」と考える人もいると思いますが、現実的には難しいでしょう。その理由はお寺ごとの決まりである墓地規約に「埋葬できるのは人骨のみ」と定められている場合がほとんどだからです。墓地規約に違反しなくても、自分以外の家族から反対意見が出る可能性もあるでしょう。

ペットの遺骨はペット霊園や、自宅の庭に埋葬して供養するのが一般的です。

土葬にはデメリットが多いため火葬した方が安心

ペットは大切な家族ではありますが、法律上ペットの遺体は器物(モノ)扱いになります。そのため火葬せずそのままの姿でも埋葬は可能。

しかし土葬をするには多くの注意点があり、よく調べてから行わないとトラブルに発展する可能性もあります。ペット供養の方法に強いこだわり(どうしても土葬にしたいなど)がないのであれば、火葬が無難でしょう。

土葬に関する注意点については、次の章で詳しく解説します。

ペットの埋葬には法律が絡む!トラブルにも要注意!

裁判で使う槌(ギャベル)

ペットの埋葬(土葬・埋骨)には法律が絡んできます。ペットの遺体・遺骨を埋められる場所や正しい埋葬方法を知らずに行うと、後からトラブルに発展することがあるので注意しましょう。

ここからはペットを埋葬するとき、どのようなことに注意したらよいのか詳しく解説します。

ペットの埋葬時に関わる法律を解説

ペットは自宅の庭のような私有地であれば、埋葬(土葬・埋骨)しても法律に違反することはありません

ペットの遺体は廃棄物処理法「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、一般廃棄物として扱われています。許可なく他人の土地に埋葬すると不法投棄となり「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」。公園などの公共の場に埋葬すると軽犯罪法違反となり「1~30日以内の拘留または1,000~1万円以内の過料」が科せられます。

また私有地であっても、水質汚染につながる水流源などへの埋葬は禁止されています。つまりペットの遺体や遺骨は、以下の場所では埋葬できないので注意しましょう。

  • 他人の所有地
  • 公園などの公共の場
  • 国有地
  • 水質汚染につながる水流源

腐敗時の臭いでご近所トラブルになることも

自宅の庭に犬や猫などの大きい動物をそのままの姿で埋葬(土葬)するときは、ご近所トラブルのリスクが高まるので注意しましょう。トラブルの主な原因は、遺体が土の中で腐敗するときに発生する病原菌や臭いが外に漏れることなどです。

ハムスターや小鳥、金魚などの小さい動物であれば臭いが外に漏れる危険性は少ないでしょう。しかし猫や犬などの大きい動物は火葬した方が無難です。

具体的な土葬の方法については後ほど詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

ペットの埋葬が心配な人は専門業者に依頼するのがおすすめ

「ペットの埋葬を行うために、自分で正しいやり方や法律を調べるのはハードルが高い」と感じる人も多いと思います。

埋葬方法が悪くて大切なペットの遺体が野生動物に掘り起こされてしまったり、ご近所トラブルに発展したりするのは極力避けたいですよね。心配な人は専門業者へ依頼しましょう。

引っ越しの予定がある場合は自宅に土葬しない

土葬された動物が完全に土に還るまでには、数十年という長い年月がかかります。遺体の大きさや土壌にもよりますが、大きな遺体では30年~40年かかることも。

土葬したまま引っ越しでその地を去ると、後から掘り起こされて人骨と間違えられるなどのトラブルに発展するかもしれません。一度埋葬した遺体を掘り返すのも気が引けるので、引っ越す可能性がある人は土葬しない方がいいでしょう。

逆にペットを火葬なしで土葬するメリットは?

ペットを土葬するときのメリットは以下の通りです。

  • ペットを葬るための費用が安い
  • 亡くなったペットを身近に感じることができる

火葬の費用がかからないので、スコップや石灰を用意するだけで済みます。また自宅の庭に埋葬すると亡くなったペットが身近に感じられるため、ペットロスが軽くなることもあるでしょう。

庭などにペットをそのまま埋葬(土葬)する方法

庭のある家

ペットは「埋葬する場所」や「ご近所トラブル」に十分配慮すれば、自宅の庭などに土葬することも可能です。

亡くなったペットを火葬せずに、そのまま土葬する場合の手順は以下の通りです。

手順1:私有地にペットを埋められるスペースがあるか確認する

法律に抵触しないように、必ず飼い主が所有する土地に土葬しましょう。ペットの大きさに合わせて遺体を埋められるスペースがあるか確認します。

玄関まわりなどの人目に多く触れる場所や踏まれやすい場所は避け、日当たりと水はけのよい場所に埋葬してあげましょう。

手順2:深さ1~2メートルの穴を掘る

スコップを使って、遺体を埋めるための穴を掘ります。穴の深さが浅いと臭いが漏れたり野生動物に掘り返されたりする可能性があるので、1~2メートルほどの深さが必要になります。

手順3:土に還る素材のタオルや手ぬぐいで遺体を包む

遺体はタオルに包まずに穴に寝かせてもいいのですが、タオルで包むことにより臭い予防になります。

土に還りやすい天然素材100%のタオルや手ぬぐいなどで、遺体を包んでください。化学繊維を含んだタオルは土に還りづらく、結果的に遺体が土に還る速度も遅くなってしまうので避けましょう。

首輪やおもちゃなども一緒に入れてあげたいところですが、腐食しないため土に還らないものは入れないようにしてください。

手順4:穴に石灰をまき、遺体をタオルごと納める

穴の底に石灰をまいてから、遺体をタオルごと納めます。石灰には遺体が腐敗するときに発生する有害物質を抑える効果や、有機物の分解を促す効果が期待できます。

ただし石灰を多くまきすぎると、逆にペットが土に還るのを遅らせてしまうので注意が必要。遺体を分解する微生物は土壌が中性のときに最も活性化しやすく、石灰が多すぎるとアルカリ性に傾いてしまうためです。ペットの体重と同じ重さの量を目安とし、半分を穴の底にまいてください。

手順5:遺体の上からさらに石灰をまく

遺体を穴の中に納めたら、遺体の上に残りの石灰をまいてください。

手順6:穴に多めの土を戻す

土を穴に戻すときは、表面が盛り上がるように多めの土をかけてください。ペットの腐敗が進むと、地中に空間ができて土が沈むこともあるからです。

手順7:モニュメントとなる墓を置いたり、植物を植えたりする

ペットを埋葬したすぐそばに、目印になるようなモニュメントを置いたり植物を植えたりします。

ペットの火葬後に骨を埋葬(埋骨)する方法

スコップで穴を掘る人

「亡くなったペットを自宅で供養したいけれど、土葬するための深い穴を掘るのは大変」。あるいは「ペットが大型なので、そのまま埋めたら臭いが出ないか心配」という人は、火葬後の遺骨を埋める「埋骨」がおすすめです。埋骨するための方法をご紹介します。

手順1:遺体を火葬する

埋骨をする場合は、ペットの遺体を火葬し遺骨の状態にします。ペット火葬は役所か民間の葬儀社に依頼できますが、役所では焼却処理されるため遺骨が手元に戻ってこない可能性があります。返骨が可能な民間の葬儀社を選びましょう。

粉骨(遺骨をパウダー状に加工)してもらうと自然に還りやすく、また誤って掘り起こされたときの心配もありません。メリットが多いのでおすすめです。

手順2:遺骨を埋める場所を決める

土葬の手順と同様に、玄関まわりは避けて日当たりと水はけのよい場所を選びます。遺骨であっても他人の土地や公共の場には埋葬できないので、必ず飼い主が所有する土地を選んでください。

手順3:深さ30cmの穴を掘る

遺骨を埋めるための穴を掘ります。穴の深さは30cmほどあれば大丈夫です。

手順4:遺骨と骨つぼは別にして穴に納める

遺骨は骨つぼの中に入れた状態で埋葬すると、土に還るのに時間がかかるので骨つぼと別にして穴に納めます。遺骨を土に直接置きたくないという人は、土に還りやすい素材の布などに包んでから納めましょう。

ペットは庭ではなくプランターに埋めることもできる

プランター葬

「マンションに住んでいるから、土葬や埋骨ができない」という人も多いでしょう。所有している土地が近くにないけれど、自分の近くで供養したい人にはプランター葬がおすすめです。

ペットのプランター葬とは?メリットを解説

プランター葬とはプランター(植木鉢)に土を入れて、遺体や遺骨を埋葬する方法です。

プランター葬のメリットは以下の通りです。

  • 土地を所有していなくても埋葬できる
  • 引っ越しのときに一緒に連れていける
  • ペットを身近に感じられる

大きなペットをプランター葬するなら火葬後に行うのがおすすめ

プランター葬はペットの遺体を火葬せずにそのまま入れる方法と、火葬後の遺骨を入れる方法の2つがあります。ただしプランターや鉢は大きさや深さが限られるので、ハムスターや小鳥・小型の魚といった小さなペットでないとそのまま土葬するのは難しいでしょう。

またプランターや鉢に大きなペットを土葬してしまうと、臭いが漏れたり小さな虫が湧いたりする可能性が高くなります。ベランダや庭に置いた際にカラスなどに掘り起こされる場合も。

猫や犬などの比較的大きなペットは、遺体を火葬して遺骨にしてからプランター葬を行うのがおすすめです。

プランター葬に必要なものと具体的なやり方を解説

プランター葬を行う場合は、以下のものを準備してください。

  • 陶器製のプランター(プラスチック製は強度が低いため)
  • 園芸用の土
  • 腐葉土
  • 堆肥
  • 鉢底石
  • 鉢底ネット
  • 草花の種や苗
  • バケツ
  • スコップ

プランター葬を行うための手順は以下の通りです。

手順①:プランターの底に土台を作る

プランターの底に鉢底ネットを敷き、底が見えなくなるまで鉢底石を敷きます。

手順②:土を混ぜる

バケツとスコップを使って、園芸用の土と腐葉土を1:1の割合で混ぜます。

手順③:プランターに土を入れる

混ぜた土をプランターの3分の1の深さまで入れます。

手順④:ペットの遺体、遺骨を入れる

土の上にまずは堆肥を敷き、その次に腐葉土を敷いて遺体や遺骨を置きます。上から腐葉土を被せたら最後に堆肥を敷きます。

手順⑤:草花の種や苗を植える

植物を植える場合は、遺体を傷つけないように鉢底ネットを敷きます。その上に園芸用の土と腐葉土を混ぜた土を被せてから、植物を植えていきます。

プランター葬に適した植物は?一年草がおすすめ

プランター葬で植える植物は、一年草(一年しか花を咲かせない植物)がおすすめです。多年草(同じ株から何年も枯れずに花を咲かせる植物)は定期的に土を入れ替える必要があるので、プランター葬には向いていません。

【一年草の例】

  • アサガオ
  • パンジー
  • ジニア(ヒャクニチソウ)
  • カモミール(ジャーマンカモミール)
  • デイジー

など

植物の管理が難しい場合でも、プランターが土だけでは寂しいと感じる人も多いでしょう。その場合は土の上に、造花や可愛い置物などを置くのがおすすめです。

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