うさぎの介護は大変?
うさぎの介護は大変です。繊細なうさぎをしっかりサポートしなければいけません。またうさぎは7歳からシニアの部類に入り、長生きすると10歳以上になることもあります。介護期間が長期にわたる可能性もあるでしょう。飼い主の体力やメンタルも大切にしなければなりません。
高齢うさぎにはどんな介護が必要?
高齢うさぎには「食事や排せつの補助」「水を飲む際の補助」「部屋のバリアフリー」「床ずれの予防」「マッサージ」「ブラッシング」といった介護が必要になることがあります。
高齢うさぎによくある不調/老衰症状 | 主に必要になる介護 |
①食欲がなくなる | 食事の補助 |
②首が動かしづらくなる |
|
③後ろ足に力が入らなくなる |
など |
④寝たきりになる |
など |
⑤毛づくろいができなくなる | ブラッシング |
⑥視力が悪くなる | 部屋のレイアウトをいつも同じに保つ |
本記事では、高齢のうさぎにはどんな介護が必要なのかを具体的に解説します。
①食欲がなくなってきたうさぎの介護方法
必要な介護 | ・食事の補助
・盲腸便(柔らかい便)を食べさせる ・強制給餌(注射器でご飯を与える) ・食事のしやすい高さにする ・ストレスのない環境作り |
食欲がなくなる主な原因 | ・不正咬合(ふせいこうごう:歯が伸び続ける状態)
・腫瘍(できもの) ・毛球症(毛を飲み込んで胃にたまる病気) ・他の病気(腎臓や肝臓) ・加齢によるもの |
病院に行く判断基準 | ・12時間以上全く食べない場合
・元の体重から5%減った場合 |
食欲がなくなった時に行う介護は食事の補助がメインです。あまり食べないなと感じたら、口元に好きなご飯や盲腸便を持っていき食べる補助をしましょう。盲腸便はうさぎの健康に必要な栄養です。ビタミンやミネラルが豊富に含まれているので、うさぎが自分から食べる様子がなければ口元に持っていってあげてくださいね。
もしうさぎが半日以上全く食べないなら、命に関わる危険な病気にかかっている可能性もあります。様子を見ずに早めに病院に連れていきましょう。
場合によっては、カテーテルシリンジ(注射器)で強制的に口にご飯をいれる「強制給餌」をしなければなりません。ただし無理にあげようとすると誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん:気管に食べ物が入って肺に炎症がおきる病気)などになることも。獣医師に相談し、やり方を学んでから行うようにしましょう。
食欲がなくなってきたうさぎにおすすめの介護用品
もしうさぎに強制給餌をする必要がある場合は自己判断をせず、まずは病院にどのようにすればいいかを相談してみてください。
ここではよく使用されるアイテムを紹介します。
・粉末のご飯
イースター ベッツセレクション ウサギ用ライフケアライフケア 90g
強制給餌に使いやすい粉末のご飯も販売されています。粉末のご飯を水に溶かし、適度な柔らかさにして与えることができます。
②首を動かしづらくなってきたうさぎの介護方法
必要な介護 | ・ご飯や水飲み場の位置を変える
・食事の補助 |
首を動かしづらくなる主な原因 | ・椎間板ヘルニア
・斜頸(しゃけい:頭が斜めになること) |
病院に行く判断基準 | ・痛がっている場合
・長期間動かしづらそうにしている場合 |
首を動かしづらくなったうさぎには、食事や水分補給の補助が必要です。ボトルで飲み物を飲んでいるなら水入れに変え、高さを低く調節しましょう。ご飯の高さもうさぎが食べやすい位置に変更し、自分自身で食べるのであれば様子を見てあげてください。
もし斜頸などで上手に食べられなかったり食欲がなくなったりしたら、以下のような介護を試してみます。
- 口元にご飯を持っていく
- ペレットを水やお湯にひたして柔らかくする
- 強制給餌(注射器でご飯を強制的に与える)
首を上に持ち上げられなくなったり痛がったりしている場合、病気が潜んでいる可能性もあります。何日間にもわたって首に違和感がありそうなら、早めに動物病院で診てもらいましょう。
首を動かしづらくなってきたうさぎの介護用品【水入れ】
うさぎが首を上に持ち上げられなくなった時に使いやすい、水入れを紹介します。
・位置を調整できる水入れ
位置を調整でき、自然な体勢で飲めるボウルタイプの水入れです。
③後ろ足に力が入らなくなってきたうさぎの介護方法
歩けるけれど後ろ足に力が入らなくなった場合の原因や、介護方法について見ていきましょう。
必要な介護 | ・食事の補助
・排せつの補助 ・お尻まわりなどのお手入れ ・床材の変更 ・段差をなくす ・部屋のレイアウトを変更する |
後ろ足に力が入らなくなる主な原因 | ・筋力の低下
※後躯麻痺(こうくまひ:後ろ足の麻痺)や骨折であれば全く歩けなかったり痛がったりするので、歩ける場合は原因ではない |
病院に行く判断基準 | ・後ろ足が動かない場合
・痛がる場合 |
うさぎの後ろ足に力が入らず歩きにくくなった場合の介護方法は、主に身のまわりのお世話をしてあげることです。
歩きづらくなりご飯のある場所に行く頻度が減ったのであれば、口元まで持っていってあげましょう。またトイレに行かなくなり、その場で粗相してしまうこともあります。トイレの補助や、汚れたお尻まわりのお手入れをしてあげましょう。
お尻にこびり付いたうんちやおしっこを放置すると皮膚疾患になります。拭き取れない場合はお尻だけ洗ってあげてくださいね。
またストレスなくうさぎが過ごせるよう、周囲の環境にも配慮しましょう。床材は滑りにくいウッドチップやタオルを敷いてあげます。タオルは爪に繊維が引っかからないタイプのものを選ぶのがおすすめ。また部屋んぽ(部屋の中でのお散歩)が快適になるようにケージの出入口にスロープを付けたり、滑りやすいフローリングにマットを敷いたりします。そうすればうさぎのQOL(生活の質)を上げられるでしょう。
後ろ足に力が入らなくなってきたうさぎの介護用品
「歩けるけれど後ろ足に力が入らない」という場合に最適な、介護用品やグッズを紹介します。
・スロープ
ケージなど段差があるところから出やすくするためのスロープです。
・床に敷くマット
足裏を清潔に維持してくれて、滑りにくいマットです。粗相をしたらすぐに取り換えられるよう予備を持っておいた方が便利ですよ。
④寝たきりになったうさぎの介護方法
必要な介護 | ・床ずれの予防
・食事の補助 ・排せつの補助 ・身体のお手入れ ・マッサージ ・室温調節 |
寝たきりになる主な原因 | ・加齢
・関節の炎症や変形 ・重度の腎不全などの疾患 |
病院に行く判断基準 | ・定期的に様子を見せる |
寝たきりになってしまったうさぎに必要な介護は、その子の状態によって異なります。全く動けずご飯も自力で食べられない時は、常に側にいてあげた方が良いことも。
また常に同じ向きで寝ていると、体重で床ずれ(皮膚のただれや傷など)ができてしまいます。定期的に寝る向きを変えてあげましょう。最近では寝たきりのうさぎ用クッションも販売されているので、上手に活用すればお世話の負担を軽減できますよ。
状態によってはご飯を口元に持っていくだけでなく、注射器で強制給餌をしなければならない場合もあります。ただ素人が独断で行うと誤嚥性肺炎などの他の病気を誘発する可能性も。必ず動物病院で獣医師と相談した上で行いましょう。
トイレで排せつができないうさぎの場合は、排せつの介助も必要です。お尻まわりが汚れないようにバリカンで毛を刈ってあげると良いでしょう。毛がなくなればその分お尻まわりのお手入れが楽になり、毎日清潔に保てますよ。
また寝たきりになると関節がこわばってしまうため、マッサージをしてあげると効果的です。力強くもみほぐすのではなく、優しく擦るようにマッサージしてあげましょう。体に良いのはもちろん、うさぎとのスキンシップも兼ねられるので積極的にやってあげてくださいね。
室温調整なども必要になります。うさぎが過ごしやすい環境は19度から20度です。できる限りエアコンなどを付けて、一定の温度にしてあげましょう。
寝たきりのうさぎの介護は飼い主の負担が大きくなります。1人で頑張りすぎず家族で分担しながらやっていけると良いですね。
寝たきりになったうさぎの介護用品
寝たきりになったうさぎの介護に便利なグッズを紹介します。
・床ずれ防止クッション
うさぎにも対応した、小動物用のクッションです。フリース性なので寒さ対策にもなります。
・ペットシーツ
ジェックス トップブリーダー 清潔消臭トイレシーツ 40枚入
寝たきりで排せつが困難な時はペットシーツを敷いておくと安心。うさぎ用のシーツは瞬間吸収してくれる上に両面タイプなのでおすすめです。
⑤毛づくろいができなくなってきたうさぎの介護方法
うさぎが自分で毛づくろいしなくなった原因と介護方法を紹介します。
必要な介護 | ・ブラッシング
・ひどく汚れていた場合のみ部分洗い ・抜け毛対策 |
毛づくろいができなくなる主な原因 | 加齢 |
病院に行く判断基準 | ・皮膚をかゆがる場合
・足の毛が抜け始めた場合(ソアホック) |
うさぎは高齢になると自分で毛づくろいをしなくなります。そのまま放っておくと、フケや湿疹(しっしん)が出て皮膚疾患にかかりやすくなるでしょう。こまめにブラッシングをしてあげる必要があります。
ブラッシングをする際に、体全体のチェックを一緒に行ってください。具体的には皮膚が赤くなっていないか・かさぶたができていないか・できものがないか、などをチェックします。
⑥視力が悪くなってきたうさぎの介護方法
必要な介護 | ・点眼(病院で処方された場合のみ)
・部屋やケージのレイアウトを一定に保つ |
視力が悪くなる主な原因 | ・白内障(水晶体が濁る病気)
・加齢によるもの |
病院に行く判断基準 | ・眼の色が濁り始めた場合
・普段と様子が違う場合 |
視力が悪くなったうさぎの介護方法は、一般的には特にありません。
ただ部屋やケージの中のレイアウトを変えると、うさぎ自身がどこに何があるのか分からなくなりストレスを感じます。目が悪くなったら部屋やケージのレイアウトをできるだけ変えないようにしましょう。
うさぎが年寄りになり、介護が必要になったら病院の力も借りよう
うさぎの介護が必要になったら、まずは病院に相談しましょう。うさぎの介護は人間の介護と同じで、時間を拘束されるだけでなく精神力や体力も必要です。介護の仕方はもちろん、不安なことがあれば遠慮せず相談してくださいね。
また独学で介護をすると誤嚥(気管に食べ物などが入ること)といった二次疾患につながったり、具合が余計悪くなったりすることもあります。
動物病院へ行けば獣医師や看護師が、実際の介護方法を目の前で見せてくれます。また自宅での介護が楽になるグッズについて教えてくれたり、お尻まわりのカットをしてくれたりしますよ。
自宅での介護がつらくなった場合は、病院によっては一時預かりで強制給餌や食事の補助をしてくれることもあります。介護は長期間に渡ることもあるため1人で抱え込まず、かかりつけの病院に相談しましょう。
ちなみに介護は短期間でできるようにはなりません。その子にあった介護方法を試行錯誤しながら探していくつもりで行ってくださいね。
うさぎの介護はいつ頃(何歳頃)から必要になる?
個体差があるものの、一般的に老衰症状が出始め介護が必要になる年齢は7歳以降です。
ただ10歳以上でも介護を必要としないうさぎもいれば、7歳以下でも何かしらの介護が必要になるうさぎもいます。普段の様子を覚えておき、変わった点があれば早めに動物病院に相談しましょう。
うさぎの介護は大変!健康に長生きしてもらうためには、難しいお世話をしなければいけない
うさぎの介護は、症状によって臨機応変に対応する必要があります。またその子の性格にあった介護方法も考えていかなくてはならないでしょう。
小学校などで飼われているうさぎを見ると「飼いやすい動物」と思われやすいのですが、介護の難易度はとても高いといえます。
大切な家族であるうさぎがストレスなく過ごせるよう、細やかな対応をしてあげてくださいね。また介護は何年も続くことがあります。途中で苦しくならないよう、動物病院などの周囲の人に協力をあおぎながらお世話を続けていきましょう。
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