うさぎの安楽死を選択する是非は?どんな方法があるの?

草を食べるうさぎ うさぎの火葬・葬儀

飼っているうさぎが病気や怪我で回復の見込みがない場合や、治療をしても苦痛が続くだけと予想される場合、安楽死という選択肢もあります。この記事ではうさぎの安楽死について、是非についての考え方や安楽死の方法を紹介します。

うさぎの安楽死はどうやって決断する?

うさぎの安楽死を決断するときは、獣医師から十分な説明を受けたうえで決断します。うさぎの痛みや苦しみ、不安をなるべく取り除いて安らかに最期を迎えてもらうための方法として、福祉や倫理観に基づいて考える必要があります。

うさぎの安楽死のタイミングや基準は?

うさぎの安楽死は、回復の見込みがなく苦痛を伴っていると判断できる場合に選択します。ひとつの基準として、重症化により痙攣(けいれん)や嘔吐が止まらなくなったとき、薬が効かなくなったとき、などを考えておくとよいかもしれません。

うさぎを安楽死させるべきか

うさぎが最期を迎える間際、苦しそうにしている姿を見ていると「もう楽にしてあげたい」という思いや、「1秒でも長く生きてもらいたい」という思いが交錯して、飼い主は複雑な感情でいっぱいになってしまうことでしょう。

大切なのは「あとからなるべく悔やまない方法」をとることです。後悔のないよう、大切なうさぎの安楽死について、“その時”が来る前にあらかじめ考えておくことをおすすめします。

安楽死の是非

日本では人間の安楽死(尊厳死)は法律で認められていませんが、ペットや動物の場合は家族や獣医師の良心にもとづいて安楽死を選択することも可能です。

飼っているうさぎが重い病気にかかって治る見込みがない場合、「これ以上は苦しんでほしくない」という考え方にもとづいて、安楽死させることができます。

たとえばアメリカだと、日本よりもペットの安楽死がより一般的に普及しているそうです。病気や事故によって重症化して、助かる見込みがないペットには、苦痛を取り除くための医療行為として安楽死という決断をするのだそう。

ただ、故意に「死」を選ぶというのは賛否両論があって当たり前です。国ごとの文化・死生観の違いはもちろんありますが、個人個人によっても見解は違うはず。

大切なのは飼い主がペットのことを思って選択をするということです。もしかしたら安楽死を選択したあとでも、「もし、あの子がもっと生きたがっていたとしたら……」と頭をよぎることもあるかもしれません。

長年連れ添ったペットの最期の時間を決めることは、それだけ飼い主にとっても重い決断になるでしょう。しかし動物たちは言葉を話すことができないので、やはり安楽死の決断は飼い主にしかできません。

もし飼っているうさぎが重い病気や危篤状態であるならば、生きているうちにできる限り優しく接してあげてください。

そして安楽死を選択したとしても、選択しなかったとしても、これまで過ごしてきたうさぎとの信頼関係を信じて、「ありがとう」という気持ちで送り出してあげましょう。

獣医師によっても見解は異なる

うさぎに限らず、犬や猫などのペットの場合でも、危篤状態には「安楽死」という選択肢が挙げられます。

基本的にペットの安楽死は動物病院と相談のうえ決断しますが、獣医師によっても安楽死の是非について見解は異なるようです。

獣医師から安楽死を勧めてくることもありますが、逆に飼い主から安楽死を提案しても獣医師に断られるケースもあります。

医師という立場上、生きている限りは治療に手を尽くすことが責務という考え方も間違っていません。そのためうさぎをはじめとする動物やペットであれども、進んで死を選択することに反対する獣医師がいても不自然ではないのです。

また獣医師が安楽死を勧めたとしても、飼い主の死生観や価値観によっては「なんて冷たい獣医師だ」と受け取られてしまうリスクもあります。そういったトラブルを防ぐためにも、飼い主から提案しない限りは安楽死を提案しないという獣医師もいるかもしれません。

うさぎの最期が近づいてきたら、あらかじめ獣医師と相談しておきましょう。安楽死も検討している場合は、飼い主のほうから提案してみてください。

「獣医師と意見が違う場合」「安楽死を提案したのに獣医師に断られた場合」は、セカンドオピニオンを検討してみるのもよいでしょう。

獣医師にも主義主張があって当然ですが、しかし飼い主の意思を尊重することとは別問題です。あくまでも飼い主、そして愛するうさぎにとって最良の選択だと思ったことを尊重してくれる獣医師に診てもらうほうがよいでしょう。

日本獣医師会の見解

日本獣医師会では「小動物医療の指針」を公表しています。ここに安楽死についての記載があるので確認してみましょう。

診療対象動物が治癒の見込みがなく、しかも苦痛を伴っている、あるいは重度の運動障 害、機能障害に陥っている等、安楽死させることが動物福祉上適当であると見なされる場 合には、獣医師は飼育者と十分に協議したうえで、飼育者自身の意志、決定のもとに当該 動物を安楽死させることは、許容される。

引用:小動物医療の指針|公益社団法人 日本獣医師会

つまり「治療の見込みがないこと」「苦痛を伴っていること」「飼い主と獣医師で十分に協議したうえでの決定であること」を条件に、安楽死は許容されるべきという見解のようです。

動物の終末医療として「苦痛を和らげてあげる治療方法」として考えていることがわかります。

安楽死を検討するケース

うさぎの安楽死について検討するのは、「すでに症状が進行していて回復の見込みがないと家族や獣医師が判断している」ケースや「延命治療しかできず苦しい最期になると予見される」ケースなどがあります。

なるべく後悔しないためにも、安楽死について事前によく考えておくことが大切です。たとえば安楽死を選ぶときの条件を考えておくという方法があります。

  • 病気のなかでも食べられていたものが食べられなくなったとき
  • 重症化により痙攣(けいれん)や嘔吐が止まらなくなったとき
  • 薬が効かなくなって、悪くなる一方になってしまったとき

このように、残念ながら回復の兆しが見えなくなってしまうタイミングをひとつの条件として考えておくことで、決断しやすくなるかもしれません。

とくにうさぎはデリケートで、ストレスを感じやすい動物だと言われています。「痛み」にも非常に弱く、痛みに長時間さらされていることでショック状態を起こすことも。

そんな苦しい状態を和らげてあげることを考えるなら、苦しいまま少しでも長く生きてもらうより、苦痛から開放してあげる選択をするのも悪いこととは言えないでしょう。

もちろん「安楽死のほうが良い」というわけではないです。むしろ日本人の古くからの死生観にもとづけば、「天寿をまっとうする」のがよいと考える人も多いのではないでしょうか。

しかし最期が近づいてくると苦しそうなうさぎの姿を見てどうしてよいか分からなくなってしまうかもしれません。いざというときのことを考え、あらかじめ安楽死も含めた選択肢や条件を検討してみてください。

うさぎを安楽死させる方法

うさぎをはじめとするペットの安楽死には、大きく分けて「積極的安楽死」と「消極的安楽死」の2つがあります。積極的安楽死とはおもに動物病院で薬物投与をすること、消極的安楽死とは延命措置や治療を止めて自宅で看取ることです。

積極的安楽死

うさぎなどのペットにたいして積極的安楽死が選択される場合、おもに3通りの方法があります。

  1. 動物病院で薬剤を投与してその場で看取る方法
  2. 麻酔を過剰投与して24時間ほどで看取る方法
  3. 鎮静剤を打ち続けほぼ24時間眠っている状態にして最期を待つ方法

動物病院によって積極的安楽死の方法は異なることがあるので、事前にどの方法が使われるのかを聞いておきましょう。

いずれの方法でも麻酔薬や筋弛緩剤などを使い、病気や怪我によるうさぎの苦しみを緩和させることができるので、最期に苦しむようなことはありません。

消極的安楽死

消極的安楽死とは、病気や怪我の悪化が判明している状態で延命治療を中止したり、そもそも治療を開始しないことを指します。

うさぎの寿命は7~8年、長くても10年程度であることが一般的です。

これ以上の治療をしても悪くなる一方だと分かっている状態で、かつ寿命をまっとうしたと考えられるだけの時間を過ごしてきたなら、治療を止めて自宅で看取るというのも1つの選択肢となります。

「最期は慣れ親しんだ場所で安らかに過ごさせてあげたい」「家族でゆっくりと看取りたい」といった場合には、消極的安楽死を検討してみてください。

費用はあいまい

動物病院でうさぎを積極的安楽死させる選択をしたとき、費用はあいまいになっていることが多いです。

たとえば大々的にホームページで「安楽死は○○円~」と記載されてると、その動物病院の倫理観を疑ってしまいたくなりませんか?そのため料金表には「安楽死」という項目がないのが一般的です。

また動物病院での診療料金は、獣医師が各自で設定することが法律で決められています。獣医師同士や獣医師団体が協定を結んで基準料金を決めてしまうと、独占禁止法違反に当たるのです。

そのため安楽死の費用は、事前に獣医師や動物病院に問い合わせないと把握できないと考えておきましょう。

安楽死にかかる料金の目安は5,000~15,000円ほどですが、うさぎの大きさや使用する薬物、また動物病院の料金設定によって違います。

参考:小動物診療料金|公益社団法人 日本獣医師会

 

最期に飼い主ができることは

うさぎの最期が近づいているときには、うさぎの暮らす環境をできる限り整えてキレイにしてあげましょう。

寝床のワラを交換してあげたり、トイレやお尻をキレイな状態に保ってあげたり、体を拭いてグルーミングを手伝ってあげたりと、なるべくストレスを感じさせないことが大切です。

うさぎが自分で動けない場合は、飼い主が寝返りをうたせてあげることで床ずれの防止になります。寝たきりの状態ならマッサージをして体をほぐしてあげるのもよいでしょう。

もし何か食べられる状態であれば、好物を口元に運んであげてください。飲み食いすることが難しい状態でも、水で湿らせたガーゼを口元に当てたら飲んでくれることもあるそうです。

うさぎは健康な状態のときでも、大きな音や犬の存在、環境の変化などによる多大なストレスで「アドレナリンショック」を起こして急死してしまうことがあります。それくらいストレスに弱い動物です。

病気や怪我で苦しんでいるうさぎなら、なおさらストレスが少ない状態で過ごさせてあげられるよう配慮してあげましょう。

うさぎの寿命

うさぎの寿命は7~8年ほどが一般的で、10歳前後まで生きていれば大往生です。

うさぎが1歳になるころ、すでに人間で言えば20歳になるのと同じくらい年を取っていると言われています。7~8歳になるころにはもう高齢期で、人間で言えば60~70歳くらいの年齢に当たるのです。

とくに7歳を超えると、人間と比べてはるかに早いスピードで老化が進むと言われています。

またうさぎの種類によっても、寿命の目安は多少違います。たとえばカイウサギのなかで最小の「ネザーランドドワーフ」だと、寿命は5~7年と短命です。

もちろん飼育環境や病気の有無などによってもうさぎの寿命は違いますが、うさぎが高齢期を迎えたタイミングで、終末医療について考えはじめてもよいのではないでしょうか。

きたるべきお別れの日に備えて、普段から優しく接してあげてください。少しでも長くうさぎが幸せに生きられることが大切です。安楽死という選択をするかどうかに関わらず、その記憶がきっとお別れのあとの心の救いになるのではないでしょうか。

うさぎは病気を隠す生き物

自然界では、うさぎは肉食動物などの捕食者に追いかけられる立場です。病気があると弱みになり、弱みを見せることは命にかかわってしまうので、飼い主にも病気を隠して元気な素振りを見せます。

そのため飼い主がうさぎの病気に気づくのは遅くなりやすく、知らないあいだに重症化することが多いようです。

もしかすると「もっと早く違和感に気づいていれば」と後悔してしまう方も多いのではないでしょうか。

しかし、うさぎは言葉を話して意思表示をするわけではないうえ、表情が乏しいので違和感にも気づきにくいものです。

終末期にあるうさぎを飼っている方は、自分をあまり責めず、むしろ残された時間をどう過ごすかを大切にしてあげてください。

きっと長年連れ添ってきたうさぎにとっても、そのほうが幸せなはずです。

うさぎの火葬について

うさぎをはじめ、犬や猫、そのほかげっ歯類や爬虫類に至るまで、ペットの火葬に対応してくれる専門業者が存在します。

火葬業者によってはプランが豊富で、人間と同じようにお通夜をしたり、お別れのセレモニーをしたり、お坊さんによる供養をしてもらえたり、ということも可能です。

昔は自治体に依頼して他の動物とまとめて火葬する方法が一般的でしたが、現在では動物の個別火葬や供養も普及してきて、丁寧なお見送りをすることができます。

愛するうさぎが亡くなったあとは、なかなか気持ちが切り替えられないかもしれませんが、心を込めてお別れをするための方法についてもぜひ考えてみてください。

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